マナーから学ぶ。
この春から通勤場所が変わり、これまでとは違う路線のバスに乗っている。なるべく座れるようにと始発のバス停から乗ったり、乗り換え時間が少なく済むように家を出る時間を工夫しながら、最適なダイヤを見つけてきた。あたりまえだけど、同じ時間でも車両は毎日違っていて、古いのもあれば、新車の匂いが残るものもある。
ある日のこと。前の座席の背に貼ってある注意事項。
「安全のため停止後扉が開くまで、移動しないようにお願いします。」
と書いてあるシールが少しはがれ、その前のメッセージがちらっと見えた。
「安全のためバスが停止するまで、移動しないようにお願いします。」
結局、言いたいのは、バスは急停止するかもしれないので、すっごく気をつけてね、ってことですよね。もともとのメッセージも、シールを貼ってまで修正したメッセージも目的はかわらないけど、転倒して怪我をしても、バス会社的には責任をとらなくて済むっていうリスクヘッジなんだよね。本当に伝えなくてはいけないことをちゃんと事前に注意したから、こっちに責任はありません的なメッセージって世の中にはよくあるなぁ。会社でもコンプライアンスを声高に叫ぶときも、おんなじことが起きてるかもしれない。会社は注意喚起してますよ、みたいな。
その点、コピーライター岡本欣也さんのタバコのマナーのキャッチコピーは、具体的かつ自分ごととして、とらえられる傑作だ。
マナーをつたえるには、ユーザーのストーリーに落とし込むのが大事なんだよな、と思う。