わびさびつくひび。

ことば、おと、しょく、たびなど。

ほめジョーズがきた。

日本文学者ドナルド・キーンさんがお亡くなりになった。ぼくはあまり彼の功績など詳しくないが、日本人よりもというか、ほぼほぼ日本人として(震災後の2011年に日本国籍を取得)、司馬遼太郎さんと日本の世界との関わりを語り合った「世界のなかの日本」が印象的だ。

今日のニュースで、過去の会見の映像をみた。アメリカから日本に来て研究者として永住を決めたことに対し、「好きではないことをやったのなら、ほめてほしいが、好きなことをやっただけだからね。」という趣旨のことを答えていた。

ぼくは、ほめられたら照れくさいけどうれしいし、息子は、ほめたら伸びるタイプっぽいし、ほめることの大切さや必要性はわかっているつもりだ。ただ、何に対してほめるのか、については雑だったかも、とキーンさんの言葉を聞いてハッとなったのだった。

息子はたまに長時間勉強した後などにほめてくれ、と言う。そんな時、ぼくは一応、よくやったなとか言うけれど、心の中では学生は勉強が本分だし、して当たり前じゃんと思いながらほめている。一方、部活だとか打ち込んでいることで結果が出たとき、言われなくても、よくやったな、と言う。これは本心から出た言葉だ。

でもね、ちょっと待てよと思う。義務教育で与えられる勉強が好きな子供なんてほとんどいない。ぼくだって好きではなかった。キーンさんの言葉を借りれば、勉強をがんばったことは、ほめられるに値するものであり、好きな部活は、ほめはせども本人にとっては、ほめられてもほめられなくてもどーでもよいことなのかもしれない。

デーデン、デーデン、とジョン・ウィリアムズの効果音のように、ほめジョーズが迫ってきた気がした。f:id:ezowatton:20190224210056j:image

キーンさん、ありがとうございます。R.I.P.